以下に、河野さんからいただいたメールを、河野さんの御承諾を得て掲載させていただきます。タイトルは「大切なことは山への真摯な気持ちと自己責任において取り組んでいることを家族に十分知らしめること」とさせていただきました。
河野さんが指摘されているように、登山に関して自分が引き受けたリスクの程度を家族に十分説明して、家族の納得を得る確率が最も高い人は「本人」である、という事実はとても大事なことです。残念ではありますが、数年後には日本も本格的な訴訟社会に移行するものと予想されます。よって、パーティのメンバーは、仲間を損害賠償請求のリスクから守るために、各自の家族への説明責任を全うしておかなければならないと思います。
なお、ウェブ上で文字化けなどの誤りが発生したとしたら、それらはすべて私のミスです。
2003.04.16
大切なことは山への真摯な気持ちと自己責任において取り組んでいることを家族に十分知らしめること
河野陽子
宗宮様、お返事大変遅くなり申し訳ございません。
非常に意義深いHPで、日頃の諸活動並びにHP管理等、
煩雑で大変かと存じます。改めて敬意を表したいと思います。
私自身山を初めてもうすぐ八年目、まだまだ学ぶこと多く、
毎度の山行で何かしらを習得している段階で、
幼稚な意見と一笑されるのではとお恥ずかしいのですが、
少し我慢して読んで戴ければ幸いです。
判決が出る前に書いたのですが、結局お届けするのが判決後と
なってしまいました。どうぞご容赦下さいませ。
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自らの意志によって山岳会に所属する者は、どんな山行であっても
自ら責任を持って行動すべきと考えます。従って、事故の法的責任を
他所に求めることは難しいこととと思います。
会長やリーダーがその法的責任を問われるようになれば、
その役職に就くことは大きなリスクを抱えることになります。
事故の起きないようトレーニングや知識の習得を行うのは
メンバー全員の義務としても、何かあった場合に役付きが
法的責任を負い、被告になることを考えると誰もそんな立場には
なりたくないと考えるのが普通ではないでしょうか。
会社であれば、経営不振、不祥事の責任はトップがとります。
ガイドや教師が引率する高校生の山行ならば、その引率者が責任を
問われるのはやむを得ないでしょう。しかし自らの意志によって山と
いう目的のために集まる集団においては、個々がまず自らの行動に
責任をとるべきと考えます。
当然ながら、山岳会でも初心者に対しては、経験者の正しい指導が
必須であることは言うまでもありません。それはリーダーの義務
ではなく、メンバー一人一人の責任であるべきです。
リーダーという立場がある以上、それ以外のメンバーは、まず
リーダーに任せようという風潮が生まれてしまうように思います。
その結果、何かあった場合責任をとらされるのもリーダーになって
しまいます。
私の所属するクラブは非常に弱小で、リーダー不在です。
危機管理も甘いでしょう。しかし、誰も事故に遭いたくないのは
当然です。所謂引率型の登山でなく、自主的に計画していくもので
あれば、責任は個々に帰するものであると思います。リーダーが
いなくても、各々の努力によって、リーダーは不要だと考えます。
自らの高み(目標)に挑戦するものは、自己責任によって挑戦すべき
である。そこに法的責任は存在しないと捉えています。
山での事故は、自らも振り返ってみるとほんの些細なきっかけで
起こり得ます。ほんのちょっとバランスを失っただけで重大事故に
繋がります。初心者でも大ベテランでもそのリスクは変わらず、
誰でもその危険性を持っています。その危険性を十分認知し、
リスクを自分で負える人が山に行く資格があるといっても過言では
ないと思います。
また、大切なことは、その山に対する真摯な気持ち、自己責任に
おいて取り組んでいるということを家族に十分知らしめることです。
日頃から自分が誰とどんな山にいっているのか、活動の内容とその
危険性、それを回避するためにどうやっているのか等、家族に
分かってもらっているべきです。そしてその活動が自己の責任に
おいてやっているということ。こういった一連のことに対して
家族の理解を得ているのであれば、万一の時にでも法的手段を
とることはないと思うのですが。
長々ととりとめもなく書いてしまいました。
駄文、乱文お許し下さいませ。