ごあいさつ

Our Goal
このページの目的は、我が国におけるアウトドア活動についての法的責任の共通認識の確立に貢献し、そのことをもって回避可能な事故防止の一助とすることです。

Method
そのために、このページでは主要な登山事故裁判の準備書面・意見書・ 証拠・判決、そして論文やルポなどを紹介することで、法廷でどのようなやりとりがなされ、裁判所がどのような基準に基づいてどんな判断を下すのか、についての情報を提供し、あわせて、それらに対する私の個人的な見解を開示したいと思います。また、必要と感じた文献やリンクなどにも、登山事故防止や山岳保険なども含めて言及して行く予定です。もちろん、私の意見に対する論評は積極的にアップロードして行きたいと思います。あなたの公正な論評をメールと本ページの掲示板でお待ちしています。

My view
約3年半の裁判経験とある大学山岳部裁判の傍聴と記録閲覧、そしていくつかの登山事故裁判の検討を通じて私が痛切に感じた事は、登山事故については法的責任を追求する必要があるものとそうでないものがあるということでした。そして、私の認識では、いくつかの重要な試みがなされてはいるものの、この二つを分類する基準が我が国ではまだ不明確であり、同時にその基準についての啓蒙は十分とはいえません。
しかしながら、この基準を明晰に記述し、かつコンセンサスとして確立するためには、冒険という文化に対する深い思索、自由という概念に対する確かな見識、幅広い法的な知識に基づいた暖かみのある知恵、かたよりのない精密な論理性、いくつもの国でのアウトドアに関する様々な経験、それらを背景とした多くのフェアで厳密な議論、そしてなにより、この目標に到達しようとする多くの人たちの意思と情熱が必要であると感じます。よって、私の結論は以下のようになるのです。

My conclusion
アウトドア活動における法的責任についての共通認識の確立・・このコンセンサスは他者から与えられるものではなく、アウトドアに関わる私たちに自身によって明確化され、「強制」ではなく、「啓蒙」によって社会的理解を得るべきものと、私は認識しています・・のためには、このページに私がアップロードしていく考察だけでは不十分であり、このページを訪れていただいたあなたの深い洞察と経験そして持続する意志が必要である、と。
私の認識では、アウトドア活動がどうあるべきかについてはあまりにも多くの識見が存在し、これを統一する事はきわめて困難です。この原因の一つは、アウトドア活動を好む自遊人たちの持つ遺伝的な特性にあると私は密かに確信しています。よって、私の掲げた本ページの目的も、また、きわめて困難な達成目標とならざるを得ないでしょう。

Our flag
それでは、この旗の元に、私たちを含むすべてのアウトドアに関わる人たちの意思を集める事も、やはり、不可能に近い奇跡なのでしょうか。そんな事は断じてありえない、と私は信じたいと思います。
あなたと共に掲げたいと私の切望するわたしたちの旗は、
信頼する仲間たちとアウトドアに向かい、喜びを共有し互いの信頼を深めて帰り、その偉大な日について笑顔で話し、次のさらなる冒険について、全幅の信頼を置く相棒たちと語りあい、その素晴らしい遊びの愉しみ方を次の世代に伝えて行くこと。そして、本多勝一氏がかつて述べたように、少しでも多くの土産話を抱えて、やがては一足先に旅立った仲間たちの前に立ち、お互いのその後について歓談しながら、うまい酒を酌み交わすこと。

My wish
願わくは、あなたの英知によって、このページがアウトドア活動についての共通認識の確立の一助とならんことを、そして、「トップダウン方式によるコントロール」などではなく、「アウトドアに赴こうとする一人一人の、自らの判断する確かな知恵」によって、あくまでも結果として、回避可能な事故防止の一助とならんことを。

2002年春
宗宮誠祐


  1. 本ページは、2002年に開設した「登山事故の法的責任を考えるページ」のリニューアル版です。
  2. 本ページは、2007年のロースクー入学により更新が滞り、加えて、2016年冬のHP移行に失敗しネットから消失してしまっていたのをリニューアルしたものです。
  3. 当時の管理人は、法律と裁判はまったく独学でしたので、今読み返してみますと不正確な点もありますが、掲載した論考原文の訂正はせず、そのまま掲載してあります。
  4. リンク切れ、記述と新HPの構造の不整合などについては順次訂正する予定です。

2017.10.22 宗宮誠祐記